スポーツ整形外科
当クリニックでは、日本整形外科学会認定スポーツ医を取得している院長が、診察致します。
スポーツ整形外科は、スポーツによって生じた運動器(骨、筋肉、腱,靱帯,関節、神経など)のけがや障害を中心に診療する整形外科です。
スポーツに伴う外傷・障害の中は、各スポーツ種目の特性を踏まえて、一般整形外科とは異なる専門的治療を要することがあります。
まずは、けがをした直後に冷やす、動かさず固定、患部を上げておくなどの処置を行い、必要に応じて消炎鎮痛剤の内服を行います。
数週間で炎症や骨折が治まると、運動療法が必要になります。
運動療法により、筋力や関節可動域を回復させ、関節周囲の組織血行を改善することにより修復を促す効果が期待できます。
当クリニックでは、スポーツの種類、競技レベルに応じて、お一人お一人のコンディションに合わせたプログラムで,早期のスポーツ復帰と再発の予防に向けて、診察からリハビリテーションまで、特に筋力強化、ストレッチ、運動動作指導などに力を入れて,一連の適切な治療を行うことを心がけています。
加えて、個々のライフスタイル合わせたご自宅でのケアやトレーニングなど、きめ細かいアドバイスも行っています。
スポーツによる外傷は、早期のスポーツ復帰の面でも初期治療が重要ですので、是非お早めにご相談ください。
診察の結果、MRIやCTなどの精密検査が必要と判断された場合は、提携病院への検査を行い、入院手術が必要と判断された場合は、連携先の病院や専門の医療機関を紹介させて頂きます。
病気とけが
野球肩(投球障害肩)、野球肩、反復性肩関節脱臼、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)、手関節TFCC損傷、半月板損傷、膝靭帯損傷(前十字靭帯損傷、内側側副靭帯損傷)、ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)、ランナー膝(腸脛靭帯炎)、疲労骨折、シンスプリント、足関節靭帯損傷、アキレス腱断裂、肉離れ
主なスポーツ外傷と障害
1)野球肩(投球障害肩)
野球などの投球動作によって肩の痛みが生じるけがの総称です。
正式には投球障害肩といいますが、いわゆる野球肩とも呼ばれています。
具体的には、関節唇損傷、腱板損傷、滑液包炎、上腕骨骨端線離開、上腕二頭筋腱炎などがあります。
原因は、肩の使いすぎで、投球動作の繰り返しにより肩に負担がかかりすぎて炎症や損傷が起きます。
症状は、投球時の肩の痛みで、悪化すると日常生活にも支障が生じます。
診断は、痛みの部位や関節の不安定性を確認する診察とレントゲン検査で行います。
詳細な検査としてMRI、CTを行うこともあります。
治療は、まず投球動作の禁止、アイシング、内服薬、外用薬、ストレッチ・筋力強化・可動域訓練・投球フォームのチェックなどのリハビリテーションを行います。
症状が改善しない場合は、手術を要することがあります。
2)野球肘
成長期に、野球などでボールを投げすぎるなど投球動作によって肘の痛みが生じる病気です。
野球肘には、肘の軟骨がけずられて外側が痛む場合(外側)や肘の靱帯や成長線が損傷して内側が痛む場合(内側)や肘の骨が損傷して後方が痛む場合(後方)があります。
原因は、肘の使いすぎで、投球動作の繰り返しにより肘に負担がかかりすぎて軟骨や靱帯を損傷して生じます。
症状は、投球時や投球後の肘の痛み、はれで、痛みのために肘の伸びや曲がりが悪くなります。
診断は、痛みの部位や関節の動きを確認する診察とレントゲン検査で行います。
詳細な検査としてMRI、CTを行うこともあります。
治療は、まず投球動作の禁止、アイシング、内服薬、外用薬、ストレッチ・筋力強化・可動域訓練・投球フォームのチェックなどのリハビリテーションを行います。
症状が改善しない場合は、手術を要することがあります。
痛みを我慢してボールを投げ続けると、障害が悪化しますので、早めのスポーツ整形外科専門医の診察をお勧めします。
3)反復性肩関節脱臼
スポーツばかりでなく、日常動作でも容易に肩関節脱臼が生じる病気です。
外傷による肩関節脱臼が一度生じると、肩関節を支える組織が損傷するため、脱臼しやすくなります。
何回も脱臼すると軽微な外力でも再脱臼が生じるようになります。
症状は、脱臼していないときは、肘を90度に曲げて肩をバンザイして胸をはると肩が外れそうになります。
脱臼すると、肩の痛みとともに、多くは肩の関節の下にはずれた腕の骨を触れます。
診断は、痛みの部位や関節の動きを確認する診察とレントゲン検査で行います。
詳細な検査としてMRI、CTを行うこともあります。
治療は、脱臼の徒手整復と安静固定、アイシング、内服薬、外用薬、ストレッチ・筋力強化・可動域訓練などのリハビリテーションを行います。
脱臼を繰り返す場合は、手術を要することがあります。
4)上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
手首を起こしたり、指を伸ばしたりするときに肘の外側に痛みが生じる病気です。
特に、ものをつかんで持ち上げたり、タオルをしぼったり、ペットボトルのふたを開けたり、キーボードを打つなどの操作で痛みが生じます。
以前は、テニスのバックハンド動作で痛みがでることから、テニス肘とも呼ばれましたが、他のスポーツでも起こり、日常生活動作などで起こることが比較的多い傾向があります。正式には上腕骨外側上顆炎です。
原因は、肘の外側に手首や手指を伸ばす腱が付着して、この腱に繰り返し過度の負荷が加わることで炎症が生じます。
診断は、痛みの部位や手首を上げる筋の負荷テストで痛みが誘発するなどの診察とレントゲン検査で行います。
治療は、日常生活での手首と手指の安静、肘用バンド(テニス肘バンド)装着、アイシング、内服薬、外用薬の使用、ステロイド注射、ストレッチ・筋力強化などのリハビリテーションを行います。
痛みが改善しない場合は、手術を要することもあります。
逆に、手首や指を曲げた時に肘の内側に痛みが生じる病気を、上腕骨内側上顆炎といい、ゴルフ肘と呼ばれることもあります。
5)手関節TFCC損傷
腕をひねった時や手首を小指側にかたむけた時に、手首の小指側に痛みが生じるけがです。
特に、ドアのノブをひねったり、ものをつかんで持ち上げたり、タオルをしぼったり、ペットボトルのふたを開けるときに痛みが生じます。
原因は、多くが転倒や繰り返し手をつくスポーツで、手首の小指側の三角線維軟骨複合体(TFCCと略します)という靱帯が損傷して、不安定性と痛みが生じます。
診断は、TFCC部の押した痛み、手首に負荷をかけて動かしたときの痛みなどの診察とレントゲン検査で行います。 詳細な検査として、MRI、関節造影を行うことがあります。
治療は、日常生活での手首の安静、装具装着、内服薬、外用薬、ステロイド注射、ストレッチ・筋力強化などのリハビリテーションを行います。
痛みや不安定性が改善しない場合は、手術を要することもあります。
6)半月板損傷
膝関節のクッションとして安定させる役割の半月板が何らかの原因で損傷したけがです。
原因は、スポーツなどの外傷で膝がひねられ、半月板に強い負荷がかかって損傷する場合と、加齢で弱くなっているところで外力が加わって損傷する場合があります。
症状は、膝の痛み、はれ、まっすぐ伸ばせない、ひっかかり感があります。
急に、半月板が膝関節の間にはさまると、突然の痛みとともに、膝がロックされ、動かなることがあります。
膝の靭帯損傷を合併することがあります。
診断は、膝のはれ、関節のすき間を押した痛み、膝を動かしたときの痛みなどの診察とレントゲン検査で行います。
詳細な検査としてMRIを行うことがあります。
治療は、日常生活での膝の安静、装具装着、内服薬、外用薬、関節内注射、ストレッチ・筋力強化などのリハビリテーションを行います。
痛みや引っかかりが改善しない場合は、手術を要することもあります。
7)膝靭帯損傷(前十字靭帯損傷、内側側副靭帯損傷)
膝を支える靱帯をひねって損傷したけがです。
原因は、スポーツなどの外傷で膝がひねられ、靱帯に強い負荷がかかって損傷します。
膝を外返しすると内側側副靭帯損傷、すねの骨を前内方にひねると前十字靭帯損傷が生じます。
症状は、膝の痛み、はれ、関節内の血腫、痛みによる運動制限、足をついたときの膝くずれがあります。
診断は,膝の痛み、関節内の血腫、膝に負荷をかけたときの不安定性を確認する診察とレントゲン検査で行います。
詳細な検査としてMRIを行うことがあります。
治療は、日常生活での膝の安静、装具装着、膝に負荷がかからないように両松葉杖を使用した歩行、内服薬、外用薬、関節内注射、ストレッチ・筋力強化などのリハビリテーションを行います。
痛みや不安定性が改善しない場合は、手術を要することもあります。
8)ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)
ジャンプ、サッカー、ダッシュなどの運動を繰り返し行うことで膝下に痛みが生じる病気です。
ジャンパー膝と呼ばれることがありますが,正式には膝蓋靭帯炎です。
原因は,繰り返しの運動で、膝を伸ばす過度な力が太ももの筋と膝下の腱に加わることで、お皿の下で炎症が生じます。
症状は、運動時の膝前面の痛み、はれがあります。
診断は、痛みの部位や関節の動きを確認する診察とレントゲン検査で行います。
治療は、運動量の調整、アイシング、内服薬、外用薬、温熱療法とストレッチ・筋力強化などのリハビリテーションを行います。
9)ランナー膝(腸脛靭帯炎)
ランニングを繰り返し行うことで膝の外側に痛みが生じる病気です。
ランナー膝と呼ばれることがありますが,正式には腸脛靭帯炎です。
原因は,太ももの外側にある腸脛靱帯が、繰り返しの膝の曲げ伸ばしのたびに、大腿骨の外側にある骨の出っぱりとすれあうことで炎症が生じます。
症状は、運動時の膝外側の痛み、はれがあります。
診断は、痛みの部位や関節の動きを確認する診察とレントゲン検査で行います。
治療は、運動量の調整、アイシング、内服薬、外用薬の使用、温熱療法とストレッチ・筋力強化などのリハビリテーションを行います。
10)疲労骨折
スポーツなどで、繰り返し骨の同じ部位に小さな外力が加わることで、ひびや骨折が生じるけがです。
なお、ひびも骨折の一種で、ずれの少ない骨折をひびと呼ぶことがあるようですが、これは正式な医学的傷病名ではなく、正しくは骨折です。
好発部位は、第2中足骨(足の甲の骨)、すねの骨、肋骨、腕の骨などがあります。
診断は、運動歴の問診と診察とレントゲン検査で行います。
精密検査として、CT、MRIを行うこともあります。
一回のレントゲン検査で明らかでないこともあるので、日にちをあけてレントゲン検査を行うことや精密検査として、CT、MRIを行うこともあります。
治療は、安静、ギプスなどによる固定、アイシング、内服薬,外用薬の使用、リハビリテーションを行います。
当クリニックでは、再発予防のリハビリテーションも行っております。
11)シンスプリント
運動時や運動後に、すねの骨の内側の痛みが生じるスポーツのけがです。
脛骨過労性骨膜炎とも呼ばれます。
原因は,陸上選手、サッカー、バスケットボールなど、過度のランニングやジャンプを繰り返すことで、足首を下に曲げる筋がついているすねの内側の骨膜に負荷がかることで炎症が生じます。
初心者が急に走り始めたり走り込んだりすると生じることが多いようです。
扁平足、足首の柔軟性や筋力が低下、硬いグランドや路面での練習、すり減った踵の靴の使用も影響しているといわれている。
症状は、すねの痛み、痛みによる歩行障害です。
診断は、痛みの部位や関節の動きを確認する診察とレントゲン検査で行います。
治療は、運動量の調整、安静、アイシング、クッションのある靴インソールの使用、内服薬、外用薬、ストレッチ・筋力強化などのリハビリテーションを行います。
12)足関節靭帯損傷
足首をひねって、足関節の靱帯を損傷するけがで、足関節捻挫ともいいます。
症状は、足首の外側や内側の痛み、はれがあり、痛みのため動かしにくく、歩くのがつらくなります。
診断は、足首の内外側の靱帯の痛みとレントゲン検査で異常がないことを確認します。
治療は、ギプス固定などによる安静、アイシング、内服薬、外用薬、足に負荷がかからないように松葉杖での歩行訓練などのリハビリテーションを行います。
不安定性が強い場合は、手術を要することがあります。
13)アキレス腱断裂
ダッシュや急なストップ動作などで、ふくらはぎの下のアキレス腱が急に伸ばされて断裂するけがです。
原因は、腱の老化が関係しているといわれ
けがした時に、「バットでたたかれた感じ」や「ボールが当たった感じ」と表現する方が多いです。
症状は、痛みが軽く歩くや足首を動かすことはできますが、つま先立ちはできません。
診断は、レントゲン検査で異常がないことと診察で腱断裂部のへこみを確認します。
治療は、手術を行わずにギプスや装具を用いて治療する方法と、手術で腱を縫合する方法があります。
それぞれの長短所がありますので、整形外科の専門医と相談してください。 ギプス固定をはずしたあとは、筋力回復、ストレッチ、関節可動域訓練を中心としたリハビリテーションを行います。
14)肉離れ
スポーツなどにより筋肉が部分的に断裂するけがです。
肉離れと呼ばれているようですが、正しくは筋部分断裂です。
筋が伸ばされている時に、筋を収縮すると、筋力に負けて部分断裂が生じます。
主に、ふくらはぎ、大腿の表や裏の筋を受傷します。
症状は、痛み、はれ、内出血、断裂部のくぼみがあり、歩行困難です。
診断は、診察とレントゲン検査で骨の異常がないことを確認します。
精密検査としてMRIを行うこともあります。
治療は、安静、局所のアイシング、内服薬、外用薬、筋力回復とストレッチを中心にリハビリテーションを行います。
安静のために、ギプス固定や足に負荷がかからないように、松葉杖を使用することがあります。
当クリニックでは、再発予防のためのリハビリテーションも行っております。